帯状疱疹

帯状疱疹とは

帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で発症する皮膚病で、子どもの頃にかかる水ぼうそうと同じウイルスが原因です。
水痘・帯状疱疹ウイルスは一度体内に入ると完全には消失せず、神経節に潜んでいます。
大人になった後、ストレスや疲れなどで免疫力が低下すると、体内に潜んでいたウイルスが再活性化して帯状疱疹として現れます。
帯状疱疹は全身のどこにでも発生する可能性があり、非常に痛みを伴うことが一般的です。
水ぼうそうにかかった記憶がなくても、非常に軽度の感染で気づかないこともあるため、ほとんどの人が感染リスクを持っています。

帯状疱疹の症状と経過

経過

1初期症状

最初の症状として、痛みやかゆみが現れます。
この感覚はしばしばズキズキ、ヒリヒリ、チクチク、ピリピリといった形で表現されることが多いです。
その後に発疹が表れることが多いですが、時に発疹が現れた後に痛みが出ることもあります。

2急性期

発疹が出た部分が水ぶくれとなり、細かいぶつぶつが連なって島のような形を作ることもあります。
この水ぶくれはやがてかさぶたになり、剥がれ落ちます。
発疹が出てから水ぶくれになるまでの期間はおおよそ6日から1週間程度、水ぶくれができてからかさぶたになり、剥がれ落ちるまでにはさらに6日ほどかかります。
水疱内にはウイルスが含まれているため、感染が広がらないように患部を清潔に保つことが重要です。

3慢性期

かさぶたが剥がれた後も、約2~3割は2ヶ月以上にわたり痛みが持続します。
中には年単位で痛みが残る場合もあり、この痛みは発疹があった部位だけでなく、筋肉や関節にも影響を及ぼすことがあります。

かゆみ以外の症状

帯状疱疹の初期症状には痛みやかゆみの他にも、様々な症状があります。

熱・頭痛

ウイルスが再活性すると、その部位にチクチクやヒリヒリする痛みが発生します。
これに続いて発熱や頭痛、倦怠感など風邪に似た症状が出現することがあります。

首・肩・足・腕や関節の痛み

首から肩、胸にかけて激しい痛みを感じることがあり、心筋梗塞や大動脈解離を疑うほどの強い痛みが出現することもあります。

背中の痛み

肩甲骨の周囲に筋肉痛のような痛みが現れ、その後にその部位に発疹が現れることがあります。
しかし、背中は自分で確認しにくいため、症状の発見が遅れがちです。
治療が遅れると、重症化するリスクや帯状疱疹後神経痛に進行する可能性があり、注意が必要です。

顔の発疹は要注意

顔に帯状疱疹の発疹が出る場合、特に注意が必要です。
発疹の位置によっては、以下のような合併症が起こる可能性があります。

眼部帯状疱疹 発疹が目の近く、特におでこから目にかけての部位に出現する場合、眼部帯状疱疹の可能性があります。
この状態は早期に目の充血や角膜炎、結膜炎などの眼の症状を引き起こします。
これらの症状が見られる場合は、早めに眼科を受診してください。
耳性帯状疱疹
(ラムゼイ・ハント症候群)
耳の近くに発疹が出た場合、この症状は耳性帯状疱疹と呼ばれ、顔面神経や聴神経の障害が起こるリスクがあります。
発疹や水ぶくれだけでなく、発疹がある側の顔の麻痺、難聴、めまいなどが伴うことがあります。
これらの症状が出現した場合は、耳鼻咽喉科または脳神経外科、脳神経内科を早めに受診することが推奨されます。

帯状疱疹の原因はストレスも関係する?

ストレスによって免疫力が低下することにより発症の引き金になることが多いため、ストレス管理が帯状疱疹の予防にもつながります。

帯状疱疹の治療方法

内服薬

抗ウイルス薬を服用することで、水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑制します。
症状が改善しても、ご自身の判断で内服を中止しないようにしてください。

外用薬(塗り薬)

炎症や痛みを抑えるためのものや、二次感染を予防するための塗り薬が処方されます。
症状が軽度の場合には、内服薬ではなく抗ウイルス薬の外用薬が処方されることもあります。

帯状疱疹はワクチンで予防できます

帯状疱疹はワクチン接種による予防が可能です。
現在、2種類の帯状疱疹ワクチンがあります。
水痘ワクチン(ビケン) 無毒化された生きた水痘ウイルスを使用した生ワクチンで、このワクチンは一度の接種です。
1回の接種で、約5年間帯状疱疹の発症を予防する効果があります。
帯状疱疹ワクチン(シングリックス) 死んだ水痘ウイルスを使用した不活化ワクチンです。
このワクチンは2回の接種でほぼ半永久的に帯状疱疹を予防することが可能です。

料金

種類 料金
ビケン 1回 8,800円(税込)
シングリックス 1回 22,000円(税込)

 

よくあるご質問

帯状疱疹はうつる病気ですか?

帯状疱疹のウイルスは水疱瘡ウイルスに由来します。
帯状疱疹自体が他人に直接うつることはありませんが、水疱瘡にかかったことがない人が帯状疱疹に罹患している患者様の新鮮な疱瘡液に接触すると、その人は水疱瘡を発症する可能性があります。
妊婦が帯状疱疹に感染すると、重症化し治療が困難になることがあり、特に分娩前後には、赤ちゃんが罹患するリスクがあるため注意が必要です。

お風呂に入っても大丈夫ですか?

帯状疱疹を患っていてもお風呂に入ることは可能ですが、水疱の中には大量の水疱瘡ウイルスが含まれているため、水疱瘡にかかったことがない方と一緒に住んでいる場合は注意が必要です。

帯状疱疹を放置するとどうなりますか?

帯状疱疹は放置しても2週間から1ヶ月で自然に治癒することが多いですが、稀に重症化するリスクもあるため、早期の受診と治療が推奨されます。
特に発疹が見つかってから時間が経過している場合、自然治癒を待つ以外に選択肢がなく、帯状疱疹後神経痛の後遺症が残るリスクが高まります。

帯状疱疹になった時やってはいけないことはありますか?

症状の悪化や他の人にうつさないためにも以下のような行動は避けましょう。

  • 無理をしての日常活動: 帯状疱疹は免疫力が低下していることを示します。適切な休養と栄養を摂り、無理をしないようにしましょう。
  • 自己判断での出勤・登校: 帯状疱疹から水疱瘡への感染リスクがあるため、人との接触を極力避ける必要があります。
  • 患部に触れる: 患部に触れることでウイルスが他の部位や他の人に感染を広げる可能性があります。
  • 患部を冷やすこと: 冷やすと症状が悪化することがあります。
  • タオルの共用: 家族への感染を防ぐため避けます。
  • コンタクトレンズの使用: 顔に帯状疱疹がある場合、コンタクトレンズの使用は目への感染リスクを高めます。
  • 市販薬の自己判断使用: 不適切な市販薬の使用は症状を悪化させる可能性があります。治療は専門医の診断を受けましょう。