乾癬

乾癬とは

乾癬とは乾癬とは、遺伝的要因などを原因として、皮膚の赤みや乾燥、かゆみ、肥厚、鱗屑などを引き起こす病気です。頭皮、髪の生え際、肘・膝などにしばしば見られます。
10代後半~60代の幅広い年代で発症します。
なお、まわりの人へとうつる病気ではありません。

乾癬の主な原因

主な原因となるのが、遺伝的要因です。
免疫に異常をきたしやすい体質が遺伝することで、発症リスクが高まります。
多くの場合、この体質が基盤にあり、そこに外的要因、内的要因が重なることで乾癬を発症します。
外的要因にはストレス・喫煙・飲酒・薬剤などが、内的要因には肥満・糖尿病・妊娠などがそれぞれ挙げられます。

乾癬の種類

乾癬には、いくつかの種類が存在します。うち、約9割を占めるのが最初にご紹介する尋常性乾癬です。

尋常性乾癬

皮膚の赤みやかゆみ、肥厚、鱗屑といった、乾癬の典型的な症状が見られます。
頭皮、髪の生え際、肘、膝などに好発しますが、お尻や太もも、すね、あるいはそれ以外の部位に発症することもあります。

関節症性乾癬(乾癬性関節炎)

尋常性乾癬の次に多いのが、関節症性乾癬です。
手足の関節、首、背骨、アキレス腱、足裏などに痛み・腫れ・こわばり・関節の変形といった症状が現れます。関節リウマチと似た病態を持ちますが、まったく異なる病気です。

滴状乾癬

直径5~20mmの水滴大の発疹が全身に出現します。
子どもや若い方に好発します。風邪、扁桃腺炎などに続いて発症するケースが目立ちます。ほとんどの症例において、原因となる感染症の治療によって皮膚症状も改善します。

乾癬性紅皮症

尋常性乾癬が全身の9割以上の皮膚へと広がった状態を指します。赤みや肥厚、鱗屑に加え、発熱や寒気、倦怠感などの症状を伴います。
尋常性乾癬の治療が不適切であったり、治療を行わなかった場合に発症します。

膿疱性乾癬

皮膚の赤みや発熱と共に、膿疱が多数現れる乾癬です。手のひらや足裏など部分的に出現する場合と、全身に出現する場合があります。
治療では、入院が必要になります。また厚生労働省より、難病の指定を受けています。

乾癬の主な症状

乾癬には、主に以下のような症状が見られます。
好発部位は頭皮、髪の生え際、肘・膝ですが、それ以外の部位、あるいは全身で発症することもあります。

  • 皮膚の赤み、かゆみ
  • 皮膚の盛り上がり
  • 鱗屑(銀白色の細かなかさぶた)ができる、剥がれ落ちる

上記以外にも、手足の関節・首・背骨・アキレス腱・足裏などの痛みや腫れ、こわばり、関節の変形、膿疱、水滴大の発疹、発熱、寒気、倦怠感といった症状が現れることがあります。

乾癬と似た症状をもつアトピー性皮膚炎との違い

乾癬とよく似た症状を持つ病気として、アトピー性皮膚炎が挙げられます。
症状の現れ方をよく観察すると、見分け方はそれほど難しくありません。

  乾癬 アトピー性皮膚炎
好発部位 頭皮、髪の生え際、肘・膝が中心であり、顔に出にくい 額、耳や目のまわり、首、腋、肘や膝の裏側など、しばしば顔に出る
かゆみ かゆみが出るのは約半数 ほとんどの症例で強いかゆみがある
鱗屑の有無 ある ない

※鱗屑とは、銀白色の細かなかさぶたのことです。乾癬では鱗屑が認められ、パラパラとフケのように剥がれます。

乾癬は治る?
薬・治療法について

乾癬は、治療により改善が可能です。当院では、薬物療法に加え、「ダブリン7」を用いた紫外線療法にも対応しています。紫外線療法にも保険が適用されますので、安心してご相談ください。
その他、乾癬を悪化させる要因(ストレス・喫煙・飲酒・薬剤・肥満・糖尿病など)を取り除くことも大切です。

薬物療法

活性型ビタミンD3製剤、ステロイドの外用による治療を行います。
重症例では、レチノイド製剤、PDE4阻害剤、生物学的製剤、免疫抑制剤の内服を検討します。

紫外線療法

紫外線治療器「ダブリン7」紫外線の照射により過剰な免疫の働きを抑え、皮膚症状の改善を図る治療です。
当院では、紫外線治療器「ダブリン7」を用いた紫外線療法を行っています。1回あたり数十秒~数分間の照射を、週1~2回程度のペースで繰り返します。
有害な波長はカットされ、治療効果の期待できる波長のみを照射します。

乾癬はうつる?

「かんせん」という響きから、乾癬は人へとうつる病気と誤解されがちです。
しかし実際には、その程度や膿疱の有無にかかわらず、人へとうつるということはございません。