蕁麻疹

蕁麻疹の症状

蕁麻疹の症状

蕁麻疹は、皮膚に赤く盛り上がる膨疹(ぼうしん)が突然現れ、通常は数時間で形が変わり消えていく特徴があります。
稀に、半日から一日程度続くこともあります。
この間、強いかゆみやチクチクするような刺激を伴うこともあります。
もし膨疹がガサガサしていたり、同じ大きさや形で長期間続いたりする場合は、じんましんではなく、湿疹や皮膚炎など他の皮膚疾患の可能性が考えられます。
蕁麻疹による膨疹は大きさも形も様々で、数ミリから体全体に広がるものまであり、形状も円形、線状、地図状など多岐にわたります。

アレルギー性と非アレルギー性の蕁麻疹

蕁麻疹(じんましん)はアレルギー性と非アレルギー性に分けられ、どちらも肥満細胞から主にヒスタミンという物質が放出されて皮膚の血管周囲にむくみやかゆみが生じるという仕組みは同じです。
アレルギー性の場合は特定のアレルギー物質に反応して起こりますが、症状だけではアレルギー性と非アレルギー性を区別するのは困難です。
また、アレルギー検査であるIgE抗体の上昇が原因物質の同定に役立つのは約5〜10%の例に限られるため、実際は多くの蕁麻疹の原因は特定されにくいということもあります。
アレルギー性蕁麻疹の場合、アレルゲンに接触した後、15〜30分以内に症状が現れることが多いです。

蕁麻疹の誘因物質

食物
  • 魚介類(サバ、エビ、カニなど)
  • 卵・乳製品(鶏卵、牛乳、チーズなど)
  • 肉類(豚肉、牛肉、鶏肉など)
  • 穀類・野菜(大豆、小麦、蕎麦など)

など

薬剤
  • 抗生物質
  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬(アスピリンなど)
  • せき止め

など

食品添加物
  • 人工色素
  • 防腐剤(パラベンなど)

など

物理的な刺激
  • 下着などによる摩擦や圧迫
  • こすれ
  • 寒冷・温熱刺激
  • 日光

など

植物・昆虫
  • ゴム
  • ハチ(触れる・刺される)

など

その他
  • 運動や発汗(特定の食品や体質などと組み合わさって原因となる)
  • 疲労・ストレス
  • 内臓・全身の病気(甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、膠原病など)

など

アナフィラキシーに注意

アナフィラキシーでは、原因となる物質が体内に入った後、短時間でじんましんや喘息様症状、血圧低下などの全身に及ぶ激しいアレルギー反応が起こります。
アナフィラキシーは非常に重篤な状態に至る可能性があるため、迅速な医療介入が必要です。

蕁麻疹の種類と原因…ストレスも関係する?

急性蕁麻疹

発症してから6週間以内の毎日のように繰り返し現れる蕁麻疹です。主に細菌やウイルス感染が関係していることが多いとされています。

慢性蕁麻疹

発症して6週間以上経過した蕁麻疹で、原因が特定しづらいことが多く、症状が長期にわたります。

物理性蕁麻疹

圧迫、寒冷、温熱、日光、振動、機械的擦過などの物理的刺激により生じます。

コリン性蕁麻疹

汗をかくことで発生します。
膨疹は通常1~4mm程度と小さく、若年層に多いです。

アレルギー性蕁麻疹

食べ物や薬剤、昆虫などの特定アレルゲンにより生じます。
アレルゲンに結合するIgE蛋白が関与して生じるとされています。

イントレランス

アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬、食品中のサリチル酸などで生じ、IgEは関与しません。

血管性浮腫(クインケ浮腫)

唇やまぶたが突然腫れ、数日で消失します。
通常は痒みを伴いません。
稀に遺伝的要因で発生することも知られています。

蕁麻疹と湿疹の違い

蕁麻疹と湿疹の違い

蕁麻疹と湿疹は、原因となる病変の発生位置や治療方法が異なります。
蕁麻疹は表皮の下にある真皮内の血管から水分が漏れ出ることが原因で発生し、短期間で症状が消失するのが特徴です。
一方で、湿疹は表皮で炎症が起こることが原因で発生し、症状が改善するまでに時間がかかります。
また、治癒後には色素沈着を残すことがあります。
治療では、湿疹には皮膚表面から投与する外用薬が効果的ですが、蕁麻疹では真皮内の病変に効きにくいため、多くの場合内服薬が使用されます。

蕁麻疹の検査方法

蕁麻疹の診断に用いられる検査方法は主に以下の3つです

血液検査

特異的IgE抗体を測定し、特定の物質に対する免疫反応を調べます。
これにより、アレルギー反応の有無が明らかになります。

皮膚テスト

プリックテストやパッチテストなど、皮膚に潜在的なアレルゲンを直接適用して、蕁麻疹が発生するかを観察します。
これにより、特定の物質に対する皮膚の反応を評価できます。

負荷試験

疑われるアレルゲンを食べさせるなどして直接体内に取り入れ、実際に蕁麻疹が発生するかを検証します。
これは特に食物アレルギーが疑われる場合に行われる試験です。

蕁麻疹の治し方

原因の特定・除去

じんましんの治療には、まず原因や誘因の特定と除去が重要です。これにより、発生するリスクを減らし、症状の悪化を防ぎます。

薬物療法

治療薬としては、蕁麻疹を引き起こすヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が一般的に使用されます。
重症な蕁麻疹の場合は、ステロイドの内服が短期間に限り行われることもあります。

蕁麻疹の予防と対策

蕁麻疹の予防と対策

蕁麻疹の予防と対策には、蕁麻疹の誘因や増悪因子となりやすい疲労やストレスを可能な限り避けることが重要です。
また、原因が特定されているじんましんの場合にはこれらを避けることが大切です。
食品に関しては、鮮度が低下するとアレルギー反応を引き起こすことがあるため、魚介類や肉類は特に新鮮なものを選ぶようにすることが推奨されます。