水虫(足白癬・爪白癬)

水虫の分類

水虫の種類白癬は、カビの一種である皮膚糸状菌(白癬菌)によって引き起こされる感染症です。
国民の10人に1人が爪白癬(爪みずむし)、5人に1人が足白癬(みずむし)に感染していると言われています。
足白癬は良くなったり悪くなったりを繰り返す、治りにくい病気です。
特に足白癬と爪白癬の両方が存在する場合、治療を行っても再発しやすい傾向があります。
そのため、足白癬と爪白癬を同時に治療することが重要です。

足・手白癬

手や足の毛が生えていない部分に発生する白癬です。
趾間(足の指の間)に紅斑(赤み)、鱗屑(皮膚のはがれ)、小水泡(小さな水ぶくれ)が生じ、痒みが強い「趾間型」と、痒みはないものの足(特にかかと)の皮膚が厚くなってひび割れる「角質増殖型」の2つのタイプがあります。

爪白癬

爪の側縁(爪の横)や遠位(外側)から菌が侵入し、爪が白く厚くなった状態です。
軽度なら外用剤で治療可能ですが、多くの場合、飲み薬が必要です。
爪白癬は足白癬からの菌の侵入で発生しやすく、一度感染すると再発を繰り返します。

体部白癬(ぜにたむし)
・股部白癬(いんきんたむし)

体部白癬はかゆみを伴い、境界が鮮明な環状の紅斑として現れます。
これが股にできるものがいわゆる「いんきんたむし」と呼ばれる股部白癬で、肛門周囲に広がることもあります。

頭部白癬(しらくも)

頭部にフケが付着し、不完全な脱毛局面として現れ、残っている毛も簡単に抜けます。
感染が深い場合は永久脱毛になることもあります。
最近は新型白癬(トリコフィトン・トンズランス)による感染が増えています。

水虫の症状

水虫の症状は主に以下の3つのタイプに分けられます。

趾間型
(ジクジク)

指の股の皮膚がカサカサと剥けることや、赤くなったりひび割れたりします。
患部からリンパ液がしみ出し、痒みが強いのが特徴です。
夏に症状が現れ、冬には一見治ったように見えますが、実際は完治していません。

小水疱型
(ボツボツ)

足の側面や裏に小さな水ぶくれができ、かゆみを伴います。
水疱が破れて皮が剥けることもあります。
このタイプも夏に症状が現れ、冬には治まる傾向があります。

角質増殖型
(カサカサ)

足の裏全体の皮膚が分厚くなり、かかとにひび割れが生じることもあります。
通常はかゆみがなく、冬に症状が強くなります。
角質層が厚いため、塗り薬が効きにくく、治療には飲み薬が使われることもあります。

水虫はうつる!発症する原因は?

水虫がうつる原因水虫の原因である白癬菌は、特に足に感染しやすいカビ菌です。
靴や靴下を長時間履いて足が蒸れると、菌が繁殖しやすい環境が整うため、感染しやすくなります。
白癬菌は、ご家庭の足ふきマットや浴場のマットなどに存在し、そこから皮膚に付着して感染しますが、繁殖する環境が整わないと発症しません。
特に24時間以上菌が付着していると感染しやすくなるとされ、足に傷がある場合はさらに早く感染することもあります。
ご家族が水虫を患っている場合や、銭湯やプールなどで裸足で歩くと感染リスクが高まるため注意が必要です。

水虫を放置すると合併症を引き起こす

水虫の症状は冬になるとおさまることがありますが、白癬菌は治療をしない限りは残っており、次の夏になると再び症状が現れます。
これを繰り返すうちに症状が重くなり、水虫は治りにくくなります。
放置するとさまざまな合併症を引き起こす危険性があります。
代表的な合併症は以下の通りです。

爪白癬(爪の水虫)

白癬菌が爪に感染し、爪白癬を引き起こします。
爪は硬く、中まで塗り薬が十分に浸透しないため、爪白癬になると治療が困難になります。
爪白癬からは常に白癬菌が撒き散らされるため、家族内での感染源にもなります。
爪白癬になった場合、飲み薬を用いた治療が必要です。

二次細菌感染

水虫になると感染した部位の皮膚のバリア機能が弱くなり、二次的な細菌感染が生じやすくなります。
趾間型の水虫によく見られる合併症で、細菌感染が生じると滲出液の量が増え、足の甲から脛にかけて赤く腫れ、痛みを伴います。
ひどくなると熱が出たり、リンパ腺が腫れたりする「蜂窩織炎」と呼ばれる状態になります。
細菌感染が生じた場合には、抗生物質の内服や点滴治療が必要です。

白癬疹

白癬菌に対するアレルギー反応によって、菌が存在しない部位に発疹が生じます。
足白癬が悪化した場合には、手に水疱が出現することや、ひどい場合には全身に発疹が出現することもあります。
白癬疹は原因である水虫の治療を行うと治ることがありますが、症状が強い時はステロイドの塗り薬や飲み薬を使用します。

水虫の治し方

水虫の治療治療の基本は外用薬の使用ですが、爪水虫の場合は内服薬が推奨されます。
水虫の種類や症状によって異なる薬が処方されるため、専門医の診断を受けて適切な薬を使用することが重要です。
抗真菌薬の外用薬には、軟膏、クリーム、スプレーなどがあります。
治療には最低でも1か月以上の継続使用が必要です。
爪水虫の場合は、爪を削ってから外用薬を使用します。
治療を途中でやめると再発するリスクが高いため、根気強く続けることが重要です。
内服薬は主に爪水虫の治療に用いられますが、外用薬での治りが悪い人やかぶれる人、中等症以上の人にも処方されます。
内服薬は有効成分が血液を通じて爪の奥まで届き、白癬菌を殺菌または増殖を防ぎます。

水虫を予防するには?

水虫の予防足や爪の水虫に罹患している患者様の約35%の割合で同居する家族にも真菌症の人がいるというデータがあります。
そのため、家族が水虫の場合、家庭内での感染を防ぐために、バスマットやスリッパは家族と共有せず、定期的に洗濯する必要があります。
また、白癬菌がバスマットに付着して繁殖することがあるため、こまめな洗濯と共有を避けることが感染予防に役立ちます。
また、家庭以外の場所での感染予防では、白癬菌に感染しやすい環境にいた場合は、できるだけ早く足を洗うことが推奨されます(12時間以内)。
温泉、スポーツジム、プール、サウナ、病院などの多くの人が利用する場所の利用後は、足をよく洗うようにしてください。
そして、足の指の間や爪の周りもやさしく丁寧に洗うことが大切です。
硬いブラシや軽石などで強く洗うと肌を傷つけて菌が侵入しやすくなるため、適切な洗い方で清潔を保ちましょう。