乳児湿疹の種類
1歳未満の赤ちゃんに生じる皮膚の湿疹を「乳児湿疹」と言います。
皮脂分泌の多い頭皮や顔に現れやすく、赤いブツブツや瘡蓋ができるなど、さまざまなタイプの湿疹が生じます。
乳児湿疹の種類は以下のようなものがあります。
新生児ざ瘡
赤ちゃんにできるニキビのことです。
特に男の子に多く見られ、新生児の約20%に発生するとされています。
生後2週間頃から出始め、数ヶ月後には自然に消えることがほとんどです。
乳児脂漏性皮膚炎(乳児脂漏性湿疹)
皮脂分泌の多い頭や顔、首、脇の下などに黄色いかさぶたのような痂皮ができます。
硬く、魚の鱗のような瘡蓋ができることもあります。
皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹
皮膚が乾燥している状態を皮脂欠乏症、乾燥による湿疹が悪化している状態を皮脂欠乏性湿疹と呼びます。
湿疹に痒みが伴う場合は、アトピー性皮膚炎の可能性があります。
湿疹の症状がある場合は、適切な処置と治療のため、早めに医療機関を受診してください。
接触性皮膚炎
(おむつかぶれ・よだれかぶれ)
よだれや濡れたおむつに触れた部分の皮膚がただれて起こる皮膚炎です。
症状にはただれやびらんの他、痒みや痛み、出血などが見られます。
乳児湿疹の原因は母乳?
乳児湿疹はさまざまな症状が出現し、月齢によっても状態が異なることがあります。
そのため特定には難しさがありますが、考えられる原因として以下のようなものがあります。
皮膚バリア機能の低下
乳児の皮膚は未熟な状態です。
そのため、外部刺激から守るバリア機能や潤いを保持する力が未発達であり、食べこぼしや唾液、衣類のこすれなどによるちょっとした刺激でも影響を受け湿疹を起こす可能性があります。
過剰な皮脂分泌
胎盤を通じて受け取った母親の女性ホルモンが血中に残っていることで、皮脂分泌が増加し、毛穴に詰まってニキビのような湿疹が発生することがあります。
過剰な皮脂により皮膚の常在菌であるマラセチア菌が増加することも原因の一つとされています(乳児脂漏性湿疹)。
生後2~4ヶ月までに起こりやすいですが、一過性のため、正しいケアを行えば自然に落ち着きます。
汗がつまった炎症
乳児は発汗コントロールも未熟です。
そのため、外気温の変化で活発に発汗することがあります。
汗をそのままにして皮膚を清潔に保たずにいると、汗腺に汗が詰まってしまい炎症を引き起こします。
炎症によってかゆみを伴う赤い小さな発疹がたくさんでき、悪化すると黄色の膿が出ることもあります。
乳児湿疹の治し方
新生児ざ瘡
毎日入浴した際に、石鹸をよく泡立てて優しく洗い、流し残しのないように丁寧にすすぐスキンケアを行います。
改善しない場合は、医療機関を受診してください。
乳児脂漏性皮膚炎(乳児脂漏性湿疹)
入浴の30分前に痂皮にオリーブ油やワセリンを塗り、浸軟させてから入浴します。
石鹸をよく泡立てて優しく洗い、十分にすすぎます。
医療機関では、状態によっては軟膏などを処方することもあります。
治っても繰り返し症状が出ることが多いので、気長にケアを続けることが重要です。
皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹
スキンケアで皮膚の保湿や部屋の湿度を保つようにします。
特に冬期は、加湿器などで湿度を保ち、保湿力の高いクリームやヘパリン類似物質を使うことが推奨されます。
接触性皮膚炎
(おむつかぶれ・よだれかぶれ)
正しいスキンケアやこまめなおむつ交換を心がけ、強くこすることは避けてください。
症状が強い場合は医療機関を受診し、ワセリンや亜鉛華単軟膏、場合によってはステロイド含有軟膏を使用して治療します。
よくあるご質問
新生児にできる赤いプツプツは何ですか?
母乳やミルクを飲んでいる乳児の皮膚に現れる赤いプツプツやカサカサといった湿疹などの皮膚トラブルを総称して乳児湿疹と呼びます。
口や顎の周り、皮脂の分泌が盛んな頭部、蒸れて汗がたまりやすい首回りや手首、足首などにも出現します。
顔だけ乳児湿疹がひどいのですが…
生後間もない頃はホルモンバランスが不安定で、皮脂分泌が過剰になることがあります。
過剰な皮脂は顔や頭皮に多く出やすいため、顔を中心に湿疹が出ることが多いです。
乳児湿疹は全身に広がるものですか?
乳児湿疹の部位や原因、年齢は様々です。
生後2~3ヶ月頃から口のまわりや頬、頭に湿疹ができ、成長するにしたがって手足や体に広がることもあります。
最初は小さなブツブツでも、次第に大きくなったり、炎症がひどくなったりすることもあります。
1歳を過ぎると自然に治るケースも多いです。